- 更新日 2023.12.23
- カテゴリー ホームページ制作の見積もり・発注
【調査レポート】SaaSベンダー100サービスを徹底調査|理想のサービスページの構成も紹介【2024年最新版】
MA、ホームページ・動画制作、アプリ開発、人材管理をはじめ、あらゆる分野でSaaS(Software as a Serviceの略:インターネットを経由し提供されるサービスとしてのソフトウェア)サービスが生まれています。
『Office365』や『G Suite』に代表されるSaaSは多くの企業で導入が進み、世界で約890億ドル(約9.7兆円)の市場規模、国内でも2023年には8,200億円にまで拡大の見込み。平均成長率は1年で12%成長と、高水準をキープしている市場です。
タクシー広告やテレビコマーシャルでSaaSサービスを見ない日はないほど、多くの企業がプロモーションにも力を入れています。
建設業や薬局をはじめ、BtoB以外の分野にも広がるSaaS。市場拡大に伴い、さまざまな企業が新たなサービスの立ち上げを考えられているのではないでしょうか。
そこで、SaaSの展開をお考えの企業に向けて、国内のSaaS企業100社の「サービス紹介サイト」を徹底調査。
・サービス紹介サイトを立ち上げる予定
・サイトを改修したいが、どこを改善すべきか分からない
・人気SaaSサービスサイトの共通点が知りたい
など、これからSaaSサービスを積極展開されたい方、サイトの強化を図りたい方、BtoBビジネスをやられていて、自社サービスサイトからの問い合わせを増やしたい方は是非ご覧ください!
また、100社のサイト調査から導きだした「SaaSサービスの理想のサイトマップ」もご用意いたしました。調査結果と合わせてご参照ください!
調査の方法
日本企業が展開している「SaaS」サービスを検索し無作為にピックアップ。下記の項目について、1件1件目視で調査を行いました。(2020年10月現在の情報を調査)
・SaaSサービスはサイト上でどんなゴール設計を重視しているか
・お客様が気になる「実績」や「価格情報」をどう扱っているのか
・サポートの提供方法に特徴はあるか
・リード獲得にどんなコンテンツを活用しているか
100サービス分のデータを取得し、各項目について集計しました。
本調査では、国内SaaS事業者がサービスサイトの運営に必要な「サイト設計」「ユーザーが知りたい情報の提供」「サポート体制」「リード獲得」を中心に調査。
全13項目に分けて独自調査を行っています。
ご留意いただきたい点 本調査は可能な限り、定量的な定義を行い目視による調査を行っていますが、一部主観的判断が必要な項目・内容も含まれています。ほぼ全件同じ調査者が目視で確認しているため公平性は担保するようにしておりますが、一部結果が揺れている可能性があること、ご了承いただければ幸いです。
調査結果について
・資料請求やトライアル、セミナーなど、見込み顧客との接点を重視している
・どのサービスも「実績紹介」に力を入れている
・半数以上のサービスが「電話番号」を明示している
SaaSサービスサイトには以上の特徴が見受けられました。
SaaSサービスはインサイドセールスやマーケティング、お客様内のサービス導入決定者など、複数人が関わり導入へ至るサービス。資料請求などのアクション後の流れがサイト設計と深く関わっているように見受けられました。
一見難しく、導入後の運用イメージを具体的にするための情報提供は必須。「導入してよかった」を増やすために、「オンボーディング」と呼ばれるお客様への徹底的な運用サポートがサービスを支えていることを、サイト内で使われている言葉や提供内容から感じ取れます。
各項目の詳細については、以降1つ1つご紹介していきます。
それでは、調査結果を見ていきましょう。
サイト設計について
ここでは下記の項目について調査を行いました。
・サイト内の「ゴール」をどこに置いているか
・TOPページのファーストビューではどんな訴求をしているか
結果は下記の通りになりました。
資料請求が「46%」と半数近くを占める結果に
調査をおこなったところ、見込み顧客との接点を持つためのCVポイントとして、半数近くのサービスが「資料請求」へと促していることが分かりました。検討度合いを確かめる上で、資料請求は有効な手段と言えるでしょう。
続いて多いのが「トライアル」の34%。実際の機能を一定期間、無料で試してもらうことで、トライアル期間後も継続して契約してもらう狙いがあるようです。料金が高額なものほど、無料トライアルは効力を発揮すると思われます。
サービスの提供対象となる業界での差異は見受けられませんでした。
TOPページのファーストビューは改善の余地あり
サービスへの印象を左右するTOPページのファーストビューですが、「機能」や「実績」「効率化」に関わる訴求が多数見受けられました。「サービスの特徴を一言で表す」ことに力を入れている印象を強く感じます。
一方、「お客様の課題やお悩み」に言及したキャッチはごくわずか。多機能なサービスが多く、導入することで複数の課題が解決されるから、敢えて限定したお悩み訴求はしていないのかもしれません。
ですが、敢えて「最も強い課題感」に寄り添うキャッチを入れることで、お客様との距離が縮まり他サービスとの差別化にも繋がるのではと思います。
ユーザーが知りたい情報の提供について
導入後のイメージがパッとつかみにくく、一定期間の利用が必要なSaaSサービス。だからこそ多くのお客様が知りたい
・実績
・価格
上記の情報に関する調査を実施いたしました。
「実績」情報の掲載はマスト。実績が非掲載のサイトは1割以下
ほぼ全てのサービスが「実績」情報を掲載。「どんな企業が利用しているか」が見えることで、安心感はもちろん、検討の背中を押してくれる強さを感じました。
テスト導入の実施をはじめ、「サービスリリース前にどれだけ実績をつくれるか」は、SaaSのサービス拡大における重要な要素と言えそうです。
実績は解説までがセット。顧客との信頼関係がポイント
単に導入企業の名前を記載するのではなく、「実績に関する解説」を丁寧に伝えているサービスが多く見受けられました。これは、「導入がゴール」ではなく、「サービスを利用いただいたことで、お客様の課題・お悩みを解決すること」を重視するSaaSサービスの姿勢を感じます。インサイドセールス、マーケティング、カスタマーサクセス、プロダクトマネージャー、制作チームが一丸となり、役目を果たしている結果だと言えるでしょう。
実績の解説例
出典: 株式会社ベーシック様
BtoB企業のマーケティング支援サービス「ferret One」の実績事例。どのような企業が「何に課題を感じていたか」「導入した目的は何か」「どんな立場の人が導入に携わったか」が一目で分かる構成。前提条件を理解した上で読み進められ、検討に必要な情報がすんなりと読み取れました。実績解説を表現する際の好例です。
出典:カクテルメイク株式会社様
動画作成サービス「RICHKA」の実績事例です。事例インタビュー前に「課題」「解決」を端的に表現しています。また、インタビュー内容を動画で見られるところもポイント。動画作成サービスを提供しているRICHKAならではの表現方法は、とても参考になります。
実績の掲載数は「1~30件」が6割。100件を超える実績掲載サービスも
掲載している「実績事例の件数」について調査をしたところ、「1~30件」の事例を掲載しているサービスが全体の6割を占める結果となりました。「31件~100件」で全体の2割程度。中央値は「28.5件」でした。
実績の見せ方例
出典:ベルフェイス株式会社様
オンライン営業システム「bellFace」の導入事例一覧ページ。「業種」「従業員数」「利用シーン」「主な成果」の4つの軸を掛け合わせた絞込検索ができます。欲しい情報にたどり着くためのこまかな配慮が見受けられる好例です。
出典:株式会社カオナビ様
クラウド人材管理システム「カオナビ」のサービス事例です。「メリット」と「条件」から事例を検索することが可能。選択項目を見るだけでもどんな課題解決に役立つのかが分かり、ユーザーの検討体験向上を支えています。
6割以上が「価格情報」を提供。マーケティング系サービスは割れる結果に
価格情報を公開しているサービスは67%。検討者が最も気になる情報と考えると、もっと多くのサービスで価格情報を提示しても良いのではと思います。ちなみに、マーケティング関連のSaaSサービスにおける価格情報の公開率は55%。価格情報を載せていないサービスのうち80%が「資料請求」への導線を設置していました。
料金プランを明確に提示しているサービスは4割程度。ゴール設計との関連性あり
価格情報について、明確にプランを提示しているSaaSサービスは38%。部分的な情報のみに抑えているサービスは29%ありました。
プランの打ち出し方はゴールポイントにも関係が深く、プランを明確にしているサービスは5割以上が「トライアル」をゴールポイントに設定しています。一方、部分的な情報のみに留まるサービスは、「トライアル」への導線が1割強に留まる結果となりました。
サポート体制について
検討者のサポート体制について、
・電話番号の記載
・チャットボットの導入
・オンライン相談の実施
代表的な3つのサポート方法に関する調査を実施いたしました。
電話番号の設置は半数以上。設置していない企業は資料請求への案内が強い傾向
サイト内に電話番号を設置しているサービスは53%。BtoBサービスの電話へのニーズの高さがうかがえる結果となりました。
電話番号設置していないサービスに比べ、設置しているサービスは「お問い合わせ」への導線をつけている割合が倍以上。SaaSサービスはインサイドセールス・カスタマーサクセスなどの人員がしっかりと配置されていて、役割分担ができている証拠なのではないでしょうか。
チャットツールの導入は1割程度。「質問の選択」に運用の秘訣あり?
サイト内で検討者の悩みを解決するのに最適な「チャットボットツール」の利用は1割程度に留まる結果となりました。
直感的にサービスの全容を理解するのが難しいSaaSサービス。質問者側の負荷が高く、どう質問したら良いのか分からない検討者が多いのかもしれません。
チャットツール活用例
出典:株式会社SmartHR様
クラウド人事労務ソフトを提供している「SmartHR」の選択式のチャット設計。検討者が知りたい代表的な情報を選択肢として提供し、ストレスなく解決へと導く好例です。
オンライン相談フォームの設置は1割未満。敢えて設けることが差別化に
オンライン相談の設置は3%と低い結果になりました。2020年に入り、Zoomなどを活用したオンラインコミュニケーションは多くの企業が積極採用しています。オンライン相談をサイト上で促していないものの、「お問い合わせ」いただいた後、お客様に対面かオンラインかを選んでもらうサービスが大半を占めていると予想されます。
リード獲得方法について
・ホワイトペーパーダウンロード
・オウンドメディア運営
・セミナー開催
SaaSサービスで代表的な3つのリード獲得方法について調査を実施いたしました。
ホワイトペーパーダウンロードは3割程度にとどまる結果に
ホワイトペーパーダウンロードを採用しているSaaSサービスは3割程度に留まる結果となりました。顕在的な悩みの解決に役立ち、サービスへのファンを獲得するのに有効な手段。労力はかかりますが、お客様とのファーストタッチに有効なので、ホワイトペーパーの作成が集客の差別化に繋がるかもしれません。
ホワイトペーパーダウンロード活用例
データマーケティングツール「b→dash」のホワイトペーパーページ。サービスと深く関わるお客様の課題を調査したホワイトペーパーダウンロード集を用意されています。複数の悩みを抱えている検討者ほど、ホワイトペーパーを通じてサービスへのファン化が進むでしょう。
オウンドメディアの運用3割程度。運用障壁の高さが原因?
集客手法として話題に上がることの多い「オウンドメディア」。こちらもホワイトペーパー同様、実施率は3割程度に留まりました。
BtoBサービスで集客チャネルを増やすなら、SEOやSNSにも力を入れたいところ。情報提供販路を拡大するためにも、オウンドメディアの利用は有効な手段となります。
緻密に設計されたメディアは、コンテンツを作成するほど集客上の資産となるので、しっかりと抑えておくと効果的。ホワイトペーパーと同じく差別化へと繋がる施策となるでしょう。
オウンドメディア活用例
ビジネスコミュニケーションツール「Chatwork」のオウンドメディア。サービスが提唱している課題解決シーンを、カテゴリーに分けてコンテンツ化。課題を放置することによる悪影響、どのように解決していけば良いかのアドバイスもあるなど、サービスへの信頼度が増す情報提供をされている好例です。
セミナーは半数以上のサービスが実施。リード獲得の主軸に
一方、セミナー・ウェビナーは半数のサービスが実施している結果となりました。検討者と直接触れ合える貴重な機会となるので、セミナーは効果的な手段のひとつ。ウェビナーの定着に伴い、実施されるサービスは今後ますます増えていくことでしょう。
ホワイトペーパーやオウンドメディアと組み合わせて集客力を高めることで、セミナー・ウェビナーは、より効果を発揮する手段になると思います。
セミナー・ウェビナー活用例
出典:サイボウズ株式会社様
グループウェア「サイボウズ」のセミナー情報ページです。「サービス導入をこれから検討される方」、「すでにサービス導入し、使い方を学びたい方」それぞれに向けたセミナーを整理し、応募しやすいよう工夫を凝らされています。セミナー集客コンテンツとしてとても参考になります。
SaaSサービスにおける「理想のサイト」
SaaSサービスサイトについて、全13項目の調査結果をお伝えしました。
この調査を通じて見えてきたことがひとつあります。それは、SaaSサービスのサイトは「設置されているコンテンツに共通点が多い」ということです。
そこで、これからSaaSサービスの立ち上げを考えている方に、「SaaSサービスサイトに必要なコンテンツのサイトマップ」を作成しました。
すでにSaaSサービスを展開されている企業様にも、コンテンツチェック代わりにご覧いただけますと幸いです。
SaaSの理想の「サイトマップ」はこれだ!
サービスについては「特徴」や「課題解決できること」「トライアル」情報を網羅し、検討者の「理解」を深めるコンテンツを用意。
料金やプランを開示することで、「魅力的な特徴の後押し」と「導入の可能性」を具体的に考える手助けをします。
事例インタビューでは、「自分と同じような悩みをどう解決したか」を知っていただき、導入確度を高めるのに役立つコンテンツです。
お役立ち情報は、「検討の後押し」や「サービスへのファン化」など、長期に検討されるお客様とのコミュニケーションにも役立ちます。このような情報を網羅することで、サービスの魅力を余すところなく伝えていくのが良いでしょう。
SaaSサービスサイトのTOPページにも、構成の傾向が見受けられました。下記のワイヤーフレームを参考にTOPページも考えました。こちらも合わせてご参照ください。
SaaSサービスサイトTOPページ:ワイヤーフレーム
サービスの簡単な紹介、お客様の課題やお悩みをどう解決するのかをページ上部で訴求。信頼感、安心感を高めるためにサービス導入実績を紹介します。
動画を活用することで、利用方法の具体的なイメージを補完した上で、サービスの具体的な特徴について触れていきます。
特徴を伝えた後は、検討に役立つ「利用者の声」を紹介。「導入事例」を入れることで、お客様が抱えている課題が解決されるかの判断材料を提供することができます。
検討意欲が高まっているお客様に対して「セミナー情報」や「お知らせ」「トライアル・資料請求」情報を提供することで、具体的なアクションを促す構成です。
まとめ:SaaSサービスサイト設計の心得
これまでの調査結果を踏まえ、「SaaSサービスサイトの設計で取り入れたいポイント」をまとめました。
サイトのパフォーマンス改善、リニューアルなどにお役立てください。
顧客目線を忘れずに、必要な情報を惜しみなく提供
SaaSサービスは導入までの意思決定が長くなる傾向があります。そのため、少しでも多くの見込み顧客情報を得たいと思うところでしょう。しかし、検討者との接点を持つことに気をとられ過ぎてしまい、必要な情報も敢えて出さずに「何とか問い合わせへ繋げよう」としていないでしょうか。
あくまでも「顧客目線」を忘れずに、必要な情報は惜しみなく提供することで、検討者との信頼関係を築いていきましょう。
サイトのゴール設計はチームの体制を踏まえた設計を
見込み顧客との接点を持つという観点でも、「お問い合わせ」「資料請求」「トライアル」など様々な手段があります。
どの手法を選ぶかは、「お客様にとって検討がしやすい状況」をつくることが大切です。ただ、せっかく検討者の情報を入手できても、その後のコミュニケーションがままならなければ本末転倒。お客様の信頼を失う原因にもなりかねません。
だからこそ意識しておきたいことが「自社の体制」。インサイドセールス、マーケター、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど、どんなチームで見込み顧客をもてなすのかを整理しましょう。チーム体制を考慮したサイト構成をつくることで、集客・サービス導入・顧客満足度アップに役立つサイト設計が可能となります。
リード獲得方法は、まだまだ開拓の余地がある
ホワイトペーパーダウンロードやオウンドメディアをはじめとした「コンテンツマーケティング」は時間と労力がかかります。全体の3割程度のサービスでしか取り組まれていないことが、その大変さを物語っているでしょう。ですが、顧客が求めること考え抜き、それを形にしたコンテンツはサービス同様、資産になります。
積みあがった資産を活用しながら効果的にセミナー・ウェビナーを実施することで、検討者の「サービスへの関心度」はますます高まっていくでしょう。
今回の調査結果と、SaaSサービスサイトのサイトマップを活用いただき、サイトの成長に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
Q. SaaSとは何ですか?
SaaSとはインターネットを通じて利用できるソフトウェアのことです。「Software as a Service」の略称で、日本語に訳すると「サービスとしてのソフトウェア」になります。
Q. SaaSサービスサイトの特徴は?
SaaSの特徴として「見込み顧客との接点を重視している」「実績紹介に力を入れている」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。
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この記事を書いた人
峯村 耕太郎
専門分野: Webマーケティング,ディレクション,SEO
株式会社ユーティルCOO。ライター、営業、ディレクター、 マーケターと複数の職種を経験し、「顧客開拓~メディア運用・改善」「新規サービス立ち上げ」を通じて自社ITメディアの業績拡大に貢献。様々な立場から得た知見を交えて、Web制作・運用に関する情報をお届けします!
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