クリニックのホームページ制作のポイント
全国のクリニック施設数は、若干の浮き沈みはあるもの増加傾向にあり、厚生労働省の「医療施設調査(平成29年)」によると10万1,471ものクリニック(歯科診療所を除いた一般診療所)が2017年時点で存在しています。
また、厚生労働省の「第21回医療経済実態調査(平成29年)」ではクリニック1施設あたりの収益平均は1億5,061.9万円となっており、クリニック全体で15兆2,834億円程度の市場規模があると推計できます。
厚生労働省|第21回医療経済実態調査(平成29年)
最近では、インターネット検索から来院する患者が増えてきており、クリニックの集患においてホームページの重要性が高まってきています。
ここではクリニックのホームページを開設する上で欠かせない情報をまとめましたので、クリニックを開業を考えている方・現在クリニックを経営していてホームページ制作をお考えの方はぜひ参考にしてください。
クリニックのホームページで重要なポイント
クリニック業界のホームページは広告表現が制限されていたりと、他の業界とは少し異なる部分があります。
ここでは、クリニックのホームページを作成する上で重要なポイントをまとめました。
医療広告ガイドラインに準拠する
従来は医療機関のホームページは広告と見なされず、原則として広告規制の対象外でした。
しかし、2017年6月14日に医療法が一部改正され、医療機関のホームページも医療法上の広告に含まれることが織り込まれました。
これにより、2018年6月1日からの新しい医療広告ガイドラインでは、ホームページも広告規制の対象となりました。
具体的には、虚偽の内容を記載することや誇大広告の禁止などが当てはまり、これを無視してしまうと懲役や罰金が課せられる可能性があります。
※他の広告媒体とは異なり、電話番号や住所の記載などの一部広告表現については規制解除となっています。
詳しくは厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページを参照してください。
ホームページに記載する内容はクリニック側の担当者が確認すべき事項ではあるものの、全てのページを細かに確認・修正していくのは大変です。
クリニックのホームページは、スムーズに制作を進めるためにも医療機関のホームページ制作実績のある業者に依頼するのが良いでしょう。
スマホ対応は必須
総務省が発表した2017年の「通信利用動向調査」では、スマホでインターネットをする人の割合がパソコンを上回ったことが分かりました。
近年のホームページではスマホ対応が必須であり、実はパソコンでの表示を最適化するよりも重要度が高いのです。
- 患者がベッドで寝込んでいる時
- 子どもが体調不良を訴えた時
- 外出先で怪我をしてしまった時
そばにあるインターネット端末はスマートフォンです。
若い世代のでは、パソコンをほとんど触らない方も増えてきています。
スマホ対応は必ず実施するようにしましょう。
「地域名+診療科目」を意識した検索エンジン対策
クリニックを開業する際は、地域名や診療科目を意識してGoogleやYahoo!等の検索エンジン対策を行うのが重要です。
なぜなら、来院目的の患者は「文京区 内科」といったキーワードでインターネット検索して、近くにあるクリニックを探す傾向があるからです。
それと同時に、Googleマップに地図情報を登録することも大事になってきます。
実際にGoogle検索してもらえれば分かりますが、「文京区 内科」などと検索した際には地図情報が一番上に表示されます。
検索結果に表示される地図情報を元に来院する患者も増えてきています。
Googleマップへの登録も行うことで、さならるインターネットからの集患効果が期待できます。
※GoogleやYahoo!のキーワードによってアクセスを集める手法をSEO(検索エンジン最適化)、Googleマップに地図情報を登録してアクセスを集める手法をMEO(地図エンジン最適化)と言います。
ぜひ覚えておきましょう。
患者に寄り添ったデザイン
患者がクリニックに来院する目的は、「身体または精神の悩みを解決すること」です。
患者は自分の悩みを具体的に認識しているので、ピンポイントで患者の悩みを解決できることを表現したデザインであるのが好ましいです。
デザインと聞くと「おしゃれさ(見栄えの良さ)」に焦点を当ててしまう方がいますが、それは違います。
患者目線で分かりやすいホームページこそが良くデザインされたホームページです。
(もちろん、おしゃれであることが悪いわけではありません。)
例えば、眼科クリニックを開業する際に「いつまでも目を健康に保とう」とキャッチコピーをつけたものの、結膜炎や眼精疲労、レーシック、白内障手術といった具体的な診療内容に触れられていないとどうなるのか。
来院するはずだった患者を逃してしまうことになります。
結膜炎を治したい患者は、「結膜炎の診療を行っています」と記載のある眼科クリニックに行く方が確実ですよね。
来院して欲しい患者の不安や悩みを考え、患者に寄り添ったデザインを作成していきましょう。
ホームページは診療サービスの一つ
ホームページを集患のための広告ツールだと考えるかもしれませんが、ぜひ診療サービスの一つだとも考えてみてください。
例えば、クリニックまでのアクセス情報を記載するなら、それは患者にクリニックまでの道案内をするのと同じことです。
他にも診察に当たっての注意事項などを分かりやすく記載しておけば、その後のコミュニケーションがスムーズにいきます。
そうなると来院された患者の満足度は向上するはずです。
逆に考えた方が分かりやすいかもしれません。
目的の情報を探すのに苦労した、クリニックの場所が分かりづらく到着に時間がかかってしまった、実際に訪れるまで施設や診察するお医者様の情報を得られない...こうなると患者は不安ですし、クリニックの印象も悪くなりませんか?
2016年に実施された国立国際医療研究センターの「患者満足度調査」によると、患者の約5人に1人がホームページの内容に対して不満を感じています。
患者の不安を取り除けるよう、分かりやすい情報を届ける意識を持ちましょう。
クリニックのホームページに載せるべきコンテンツ
クリニックのホームページでは、患者の信頼を獲得して来院に繋げることが求められます。
では、どういったコンテンツであれば患者の信頼を得ることができるのでしょうか?
診療科目と診療可能な病名や症状
あなたのクリニックが何のクリニックであり、患者のどの悩みを解決できるのかを具体的に示しましょう。
患者がクリニックを探す時には、「自身に合った診療科目と具体的な病名や症状が記載されているかどうか」を見ています。
例えば、皮膚科で「ニキビ」の治療がしたい患者がいたとすると、皮膚科クリニックのサイトに「ニキビ」の情報がなければ不安を感じてしまい、来院に至らない可能性があります。
皮膚科であればニキビの治療ができて当たり前かもしれませんが、患者の中には「ニキビの記載がないから、対応できないかもしれない」と考える人もいます。
こうした小さなことで患者を逃してしまうこともあるのです。
院長や医師の紹介
ホームページに訪れた患者の信頼を獲得するためにも、院長や医師の紹介をしましょう。
院長や医師の紹介に当たって必要な項目は主に以下の3つです。
- 白衣を着た人物写真
- 経歴
- 医療方針
こうした情報があると患者は安心して診療を受けられます。
紹介ページを独立して作るのも良いですが、できれば患者の目につきやすいトップページに院長や医師の紹介を載せた方が良いでしょう。
電話番号・診療時間・休診日
クリニックに出かけようと思った時に患者が起こす行動は、休診日と診療時間を確認して予約の電話を入れることです。
この行動はクリニックの集患において最も重要であるため、電話番号・診療時間・休診日の要素は、クリニックのホームページの一番上などの目立つところに分かりやすく設置するようにしましょう。
アクセス情報
クリニックのアクセス情報は案外重要です。
住所やマップ情報だけでなく、最寄りの駅やバス停から何分の場所にあるのか、目印となる建物や道のり案内まであると患者は道に迷わず来院することができます。
また、駐輪場や駐車場のないクリニックもあります。
自転車や車で来院した場合の駐輪・駐車情報もあると、少し離れた場所から来院される患者にも親切なホームページになります。
施設・設備案内
クリニックの施設や設備案内があると初診の外来患者は安心できます。
写真があるだけでも良いので、クリニックの外観・受付・待合室・診療室・設備の情報を掲載すると効果的です。
料金表
患者とのトラブルを防ぐためにも、自由診療のクリニックでは料金表を掲載することが推奨されています。
保険診療の場合でも「ジェネリック医薬品を積極的に処方することで患者の負担軽減に努めています」「保険診療によって患者の負担は3割に抑えられます」といった情報が一言あるだけで患者は安心できます。
なお、診療の一部が自由診療となる場合は、患者とのトラブルの原因になりかねないので、該当サービスの箇所に自由診療の記載をするようにしてください。
参考になるクリニックのホームページ
パッと見て欲しい情報が全部分かる
東京睡眠代謝クリニック新宿のホームページは、トップ画面に患者が求めている情報が全て盛り込まれています。
患者がこのホームページを見たら、あとは疑問のある箇所を少し見て電話で問い合わせるだけです。
デザインがおしゃれであるよりも一目見て分かりやすいホームページは集患効果を存分に発揮してくれているはずです。
画像をふんだんに使ってるから安心できる
トップページ以外も見ていただければ分かりますが、全体的に画像をメインにし、短い文章で耳鼻咽喉科クリニックの紹介をしているホームページになります。
新設されたばかりの広くて綺麗なクリニックの魅力を存分に伝えてくれますし、文字数が多くないので、お子さんから高齢者の方までストレスなくホームページを閲覧することができます。
また、パンダのイメージキャラクターがホームページに描かれており、親近感の沸く素敵なホームページに仕上がっています。
患者視点で痒いところまで手が届いてます
湯川リウマチ内科クリニックのホームページは、患者に寄り添ったコンテンツを至る所に配置しています。
トップ画面だけでも「リウマチと診断された方・治療中の方・治療を中断してる方・治療法を探している方・妊娠中の方」に対して明確にアプローチしています。
また、サイト内にリウマチに関するコンテンツを更新し続けており、サイトを検索したら600ページ以上ヒットしました。
これだけの規模のサイトを作るのは大変ですが、このホームページを分析することでたくさんのアイデアが手に入るはずです。
ホームページと動画を組み合わせて集患力アップ
北青山Dクリニックは治療内容によってホームページを使い分けているのですが、中でもがん遺伝子治療のホームページは参考になります。
ホームページ内に動画を埋め込み、がん治療という簡単には語れない話題に対して、がんの仕組みから最先端医療について詳しく解説してくれています。
動画を見たら患者の方は一度問い合わせたくなるに違いないと感じました。
独自のアピールポイントで記憶に残るクリニックに
ナビスタクリニックは、「夜まで開いてる診療所」というメリットを打ち出して集患を実施しています。
人々の生活が多様化する中、夜間診療は一つの集患テクニックになってきました。
夜9時まで開いていることを覚えていてもらえれば、仕事帰りや保育園・幼稚園の帰りに少し離れた場所からも来院してくれる可能性があります。
多くのクリニックは、地域に根ざした経営を行なっています。
ですが、こうした地域性以外のメリットを伝えられると、より多くの患者を診療できますね。
特に新規事業の立ち上げには強みがあり、社内のIT部門が不在のお客様でも心強い味方になってくださいます。