- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー ECサイト
海外でECを展開するには|越境ECの基本と注意点【2024年最新版】
ECが普及するにつれて、ニーズが増してきている越境EC。
平成30年度の日本におけるBtoC-越境EC(中国とアメリカに対して)を見てみると、総市場規模は2,765億円でした。前年比で7.6%増加しており、日本において越境EC市場が成長していることが伺えます。(経済産業省より)
今後も越境EC市場は伸びていくと予想されるため、売上拡大を見込んで早い段階で参入しておきたいところ。しかし、国境を超えたビジネスなので、立ちはだかる壁が多いのが事実です。
- 越境ECに参入したいけれど、まず何をしたらいいのか分からない
- 海外のECトレンドが分からない
- 海外販売する際に注意するべきポイントを知りたい
このような疑問をもっている担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「海外(中国とアメリカ)のEC事情」「越境ECの押さえておくべき基礎知識」「越境ECサイトを構築する際の注意点」について解説していきます。
新たに越境ECを始めようと思っている方に、基本についてお伝えするので、ぜひご一読ください。
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海外のEC事情|中国とアメリカを例に紹介
国によって国民性や文化が違うように、EC市場においても国ごとにトレンドや事情は異なります。そのため、越境ECを始めるなら、まずその国のEC事情について知らなければなりません。
中国のEC市場
「世界の各国別 BtoC-EC市場シェア」(「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」P98より)を見てみると、中国は圧倒的なシェアを獲得しています。
全世界のうち、中国が占めているのは55.8%。
そんな中国で最も大きな規模を誇るのが、アリババグループが運営するECプラットフォーム「Tmall(天猫)」です。日本からはユニクロやソニーといった大企業が出店。
平成30年度における中国ECプラットフォームシェア率では、52.5%と半分以上を占めています。
中国で2番目に規模が大きいのが、テンセントグループ傘下の「JD.com(京東)」。
出品のシステムを取り入れた「Amazon」タイプで、総合通販よりも家電に強いのが特徴です。
中国で31.3%のプラットフォームシェア率を獲得しています。
アメリカのEC事情
「世界の各国別 BtoC-EC市場シェア」(「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」P98より)を見てみると、アメリカのシェアは世界第2位。中国の3分の1ではありますが、17.0%のシェアを獲得しています。
そんなアメリカで最も大きな規模を誇るのが、日本でも確固たる地位を築いている「Amazon」。
平成30年度のアメリカEC市場におけるAmazonのシェア率は、48%でした。平成28年度が38.3%、平成29年度が43.1%だったことを踏まえると、年々規模を拡大していることが伺えます。
そんなAmazonに続くのが、世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart」や、インターネットオークションサイト「eBay」です。
越境ECの市場についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
越境ECとは|市場規模の拡大理由・始め方・構築システム&モール比較10選・成功事例とメリット
越境ECとは|日本の海外向けECの基本をご紹介
越境ECとは、国内ではなく海外に向けたインターネット通販のことです。
- 日本の事業者が、海外のECモールに出店・出品すること
- 日本の事業者が、海外に独自のECサイトで店舗をもつこと
- 海外の事業者が、日本のECモールに出店・出品すること
- 海外の事業者が、日本に独自のECサイトで店舗をもつこと
これら全てを総称して「越境EC」と呼びます。
越境ECに参入すると、ターゲットが国内から海外へと広がります。
日本の人口は約1.3億人ですが、世界の人口は約73億人。
全世界に進出しなくても、ターゲットの規模は確実に大きくなり、売上の拡大が見込めるのです。
近年、日本のEC事業者が海外に進出する機会が増えています。
それに伴い、日本から海外に向けての越境EC市場の規模は、拡大している途中です。
越境ECの市場規模
平成30年度は、中国に向けた日本の越境EC市場規模が1兆5,345億円、アメリカに向けた日本の越境EC市場規模が8,238億円となりました。
中国向けは前年比で18.2%増加し、アメリカ向けは前年比で15.6%増加しています。
「爆買い」という言葉が流行り、海外からの旅行客が日本で商品を大量購入する「インバウンド消費」が注目されている近年。
「日本にやってきた外国人が、観光地のスーパーマーケットや薬局に行列を作り、商品棚からは商品が消える」といったニュースが話題になったのを覚えているでしょうか。
平成26年度のデータを見ると、中国人のインバウンドによる購入金額は4,020億円です。
一方で、越境ECの市場を見ると、平成26年度の中国人による購入金額は6,064億円。
つまり、インバウンド消費に注目が集まりがちですが、日本から中国に向けての越境ECの方が規模が大きいのです。
「一度日本に来たときに購入した商品を気に入り、越境ECで購入し続けている」外国人もいます。
平成31年度には中国市場が4兆8,145億円に、アメリカ市場が1兆4,193億円になると予想されています。今後も、越境ECに参入する日本のEC事業者が増加し、市場がさらに伸びていくでしょう。
越境ECのメリット
参入する事業者がどんどん増えている越境EC。
市場規模が広がり続ける理由は、参入することで得られるメリットがあるから。
メリットは、大きく分けて3つです。
販路が広がり売上アップが見込める
ひとつ目のメリットは、海外展開することで販路が広がり、最終的に売上増加が見込めること。
販売の舞台が日本だけではなく海外に広がることで、ターゲットも増えるため、その分商品が売れる可能性が高まります。
国内ECサイトでの売れ行きがよくない場合でも、海外にショップを設けることで、思わぬヒットが生まれるかもしれません。
実際に、日本ではあまり売れていなかった「食品サンプルのキーホルダー」をECで海外展開したら、外国人にウケて完売になった事例もあります。
「メイドインジャパン」の安心感も、外国人の購買意欲を高める要素のひとつです。
リスクを抑えて海外展開ができる
ふたつ目のメリットは、実店舗と比べ、リスクを抑えて海外展開できること。
海外で物販ビジネスを展開する際、手段として挙げられるのは、実店舗かECです。
実店舗を選ぶ場合、オープン準備で時間がかかるうえ、場所代や設備費等のコストもかかります。
こういったコストは毎月の固定費として出ていくため、売上が伸び悩んでいる時期は痛手になるでしょう。時間もコストも、大きなリスクです。
一方、ECであれば、場所を用意したり設備を整えたりする必要がありません。
システム費用といった、必要な部分にのみ投資をすればオープン可能です。
サイト制作を外注することで、時間を効率的に使えるようになり、その分海外展開の戦略を考えられる時間が増加します。
インバウンド旅行客のECでのリピート購入が見込める
3つ目のメリットは、インバウンド旅行客の越境ECでのリピート購入が見込めること。
インバウンド旅行客が日本滞在中に商品を購入し、その商品を気に入って「自国に戻ってもまた購入したい」と思った場合、越境ECサイトがあれば、高確率でリピート購入してもらえます。
特に、化粧品やスキンケア用品などの消耗品は、インバウンド旅行客のリピート購入と相性がいい傾向があります。
越境ECのハードル
越境ECは、メリットばかりではありません。成功を手にするためには、乗り越えなければならないハードルもあります。
越境ECのハードルは、大きく分けて3つです。
言語対応の必要がある
ひとつ目のハードルは日本ではない国で販売するため、その国の言語に対応する必要があること。
中国で販売する場合、当たり前ですが日本語ではなく、世界共通語の英語でもなく、中国語に直さなければなりません。
カタコトの言語では伝わらないので、現地の人に違和感を感じさせない言葉へと翻訳することが必須です。でないと、越境ECのスタートラインにも立てません。
言語対応するべきなのは、商品紹介ページのほかにもさまざまあります。
例えば、ショッピングカート。「フリガナ入力」「和暦での誕生日」「(自分しか分からない答えを設定する)秘密の質問」等の日本ならではの項目は単純な翻訳では意図が伝わらないでしょう。
また、カスタマーサポートのチームも、現地の言語に対応しなければなりません。
現地スタッフを雇うにもコミュニケーションを取る必要があるため、バイリンガルのスタッフと協力しながら進めていくのが安心です。
決済手段を整える必要がある
ふたつ目のハードルは、国によってメジャーな決済手段が異なるため、国ごとにしっかり決済手段を揃える必要があること。
クレジットカードが使われている国であれば、クレジットカード払いで対応可能です。
しかし、決済手段が多様な今、その国のトレンドに合わせた決済手段を設けるのが重要です。
その国で普及していない決済手段を揃えてしまったら、当然ながらコンバージョンには繋がりません。越境ECに参入しようと思ったら、その国で使われている決済サービスの調査は必須でしょう。
配送方法を検討する必要がある
3つ目のハードルにして、最も大きな壁といえるのが、適切な配送方法を選ぶこと。
「現地で倉庫を確保するのか」「日本から配送するのか」によっても変わりますが、現地物流会社との連携や関税、その国の法律など、クリアしなければならない配送の問題が膨大にあります。
国内配送とは違い、手続きや書類も異なるため、後々トラブルにならないようにしっかりと調べて配送システムを構築しなければなりません。
専門的な知識はもちろんのこと、手間のかかる現地との調整も必要です。
配送面は全て配送代行会社に依頼する手もありますが、代行会社さえも知識がないパターンは少なくありません。代行会社に任せる場合は、その国での配送経験の豊富さを重視しましょう。
越境ECサイトを構築する際の注意点
いざ越境ECサイトを構築するとき、考えなしに進めてしまうと、後から後悔することになってしまうかもしれません。
構築する際の注意点を押さえてから、プロジェクトをスタートさせましょう。
モール型か自社型かを決める
越境ECサイトは、「モール型」「自社型」の2種類に分類されます。
モール型とは様々なショップが集まるECプラットフォーム。AmazonやTmallが挙げられます。
自社型とは、自社独自のECサイト。
モールに出店するのではなく、自社専用のECサイトを制作します。
モール型越境ECのメリット
モール型のメリットは、構築が簡単であること。モールの決まった流れに沿って、決まった情報を入力し、決まった操作をすることで、モール内に店をオープンできます。
集客が簡単なこともモール型のメリットです。モールには勝手にお客さんが集まってくるため、自分たちで呼び込みをする必要はありません(モール内で広告を打つことはあります)。
イメージと近いのは、ショッピングモールです。
モール型越境ECのデメリット
一方、モール型のデメリットは、ショップのカスタマイズ性が低いこと。
全てシステム化されているがゆえ、自由なショップ作りができません。
決められた箱のなかに商品を置いていくイメージです。
自社のブランドイメージの醸成が難しいことも、モール型のデメリットといえます。
お客さんの感覚は「●●(店舗名)で買い物している」ではなく、「モールで買い物している」となってしまうからです。
自社型越境ECのメリット
自社型のメリットは、カスタマイズ性が高いこと。
ECサイトのデザインからボタンの配置、スタンプカード機能まで、好きなように制作できます。
また、ブランドイメージの醸成がしやすいこともメリットです。
サイトデザインにブランドの世界観を反映させられるのでお客さんをファン化しやすくなります。
自社型越境ECのデメリット
自社型のデメリットは、構築に時間がかかってしまうこと。
そして、集客にコストをかける必要があることです。
モール型と自社型、どちらにもメリットとデメリットがあります。
しっかりと理解したうえで、どちらが自社に合っているかを見極めましょう。
有識者の意見を入れた上で構築する
初めて越境ECにチャレンジする場合、有識者の意見を入れてサイトを構築しましょう。
なぜなら、越境ECは国によって押さえるべきポイントが違うから。
国内でECを始めるときよりも、より高度な知識が必要になるのです。
サイト構築だけではなく、受注管理や発送指示などのオペレーション部分も相談に乗ってくれる会社(人)が理想です。
※ECサイト運営についてお悩みがある方は、こちらも参考にしてください。
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【まとめ】海外向けECを始める際のポイント
毎年伸び続けており、今後も規模が拡大していくと予想される越境EC市場。
売上アップなどのメリットもありますが、言語や配送の壁といったハードルも忘れてはいけません。一つひとつのハードルにしっかりと向き合いつつ、対策を講じる必要があります。
最初の一歩を踏み出す際は、外部の有識者に相談しながら進めていきましょう。
※ECサイト制作に強い会社を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【プロが厳選】越境ECの制作に強い制作会社まとめ
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この記事を書いた人
Web幹事運営事務局
ホームページ制作会社経験者を中心に構成されたWeb幹事の編集メンバーです。ホームページ制作に関する情報を、業界で培ってきたプロならではの経験とノウハウをもとに分かりやすくご紹介します。
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