- 更新日 2024.02.16
- カテゴリー SEO対策
【保存版】令和時代の最新SEO対策は〇〇にあり?SEOのためにSEOをやるのはもはや時代遅れ?(前編)【2024年最新版】
2022年12月、Google品質ガイドラインにてE-A-Tは新たに「E(Experience:経験)」が追加され「E-E-A-T」としてより重要視されるようになりました。本記事は2020年2月に公開されたもののため、記事中のE-A-T表記はE-E-A-Tに読み替えていただきますようお願いいたします。
時代は平成から令和へ。YMYL、E-A-T、サイテーションなど、今後のSEOはますます複雑に。
そして、よりユーザーファーストになっていくと予測されます。
そんな今、平成から令和のSEOの歴史を振り返り、これからの時代の最新のSEO対策について考えてみようと本企画を立ち上げました。
今回、サイバーエージェント SEOラボ 研究室長 兼 メディア統括本部 SEO戦略室 室長 京都大学経済学研究科 研究員の木村賢氏にお話を伺いました。前後編の2回でお届けします。
前編では、SEOの歴史を振り返り、令和時代に求められるSEOについて触れていきます。
平成のSEO対策とトレンドの変化
初期〜被リンク全盛期(2001年〜2000年代後半)
岩田:まずSEOに関して、初期の頃の話からお伺いできますか?
木村:そもそも初期の頃はSEOという言葉すら流通していませんでした。検索エンジン自体がまだちゃんと機能していない時代といえます。たとえば当時は、metaタグに「トヨタ」と入れると、まったく関係のないサイトや記事でも「トヨタ」で検索したときに本当に上位表示されてしまうような時代だったんですよね。
2001年頃から徐々にGoogleが広まり始めましたが、当時の日本では、Yahoo!が中心。しかもディレクトリ検索だったので、手動で作られたリンク集のようなものでした。それから徐々にGoogleが日本でも浸透し始め、Yahoo!が自前のロボット型の検索エンジンに切り替わっていく歴史の中で、SEOという言葉が広がっていったと思います。
昔は混沌としていましたね。検索エンジンもまだちゃんと機能していないし、今思うと古典的なスパムもやれてしまっていました。
そこからほどなくして「被リンク時代」に突入します。私がサイバーエージェントで事業を始めたのが2003~4年くらいでしたが、その頃にはすでにリンク販売というのが世の中に広がっていました。
「被リンク全盛期」というのは、今思い出すと楽なSEOができた時代でしたね。お客さんも業者も頑張らなくていい。「ちょっと修正するだけ」で済むのですから。
岩田:ホームページを作りさえすれば、誰でも集客できてしまうという時代だったということでしょうか?
木村:いえ、むしろ逆です。「被リンク全盛期」というのは、リンクを買っているところがたくさん上がっていた時代。なので、良いサイトを作ったとしてもリンクを買えないと、なかなか検索上位に上がらないこともあった。結局上位は、リンクを大量に買っているサイトが多くなるになるという感じですね。
一方で、自分たちで被リンク対策をする人たちもいました。自動登録型のリンク集からリンクしても効果があった時代であり、そういった(誰でも獲得できるような)リンクを自前で集める方もこの時期はたくさんいました。
一部の大手企業も、SEO会社から大量にリンクを買っており、なんでもアリなすごい時代でしたね。
なかにはしっかりとしたSEO、いわゆるホワイトハットSEOをやろうというSEO会社もありました。「リンクはやらない」というポリシーで。ただ、その他はリンクに手を出していたので、結局そっちに流される会社も少なくなかったと思います。
岩田:当時の「被リンク」は、麻薬みたいだったんですね。
木村:そうですね。リンクを買わないとSEOはなかなか難しかったですから。全国的知名度のある大手企業クラスになると、リンクを買わなくても勝手にリンクが集まっていましたが、それ以外は厳しかったですね。クレジットカード、美容外科、整形業界など多くの業界がリンク合戦でした。
多くのSEO会社は自分たちでリンク用のサイトを作ってそこからリンクを貼ったり、個人や中小企業のサイトからリンク枠を買ったりしていました。これが長く続きましたが、2010年前後から徐々に被リンクサイトがインデックス削除されるようになっていったんです。
被リンク衰退期(2010年〜)
木村:2010年を超えたあたりから、徐々にペナルティが現れ始めたんです。Googleがマニュアルアクションを始めるという時代がやってきたんですね。それまでにも、被リンクの効果が無効化されるということはありましたが。
被リンクの効果がゼロになる分には、ランクが落ちるというリスクはありません。インデックスから削除されたらまた作ればいい。効果が出なければさらにリンクを足せばよかった。
しかし、ランキングが下げられ、サーチコンソールにも警告がくる。こうなると、業界はもう大騒ぎです。リンク対策が完全なるリスクに転じてしまったわけです。
本当にひどい場合、ペナルティが全く解消されないというケースも出てきました。
岩田:リンクを外しても解消されなかったのでしょうか?
木村:リンクを外しきれないということがよくありました。外部のサイトですから完全にコントロール外になってしまって、苦しんだ会社は多かったと思います。ドメイン変更せざるを得ないようなところもありましたね。
「もう被リンクはダメだ」となったのが2012年くらい。そこからほとんどの会社が被リンクから足を洗いました。とはいえ、今でも被リンクをやっている会社はあります。
ここで「被リンク時代」は終わるんですが、今度はコンテンツスパムが増えてくることになるんです。
コンテンツSEO、コンテンツスパム流行期(2013年〜)
岩田:コンテンツスパムが増えて、というのはもうつい最近の話でしょうか。
木村:以前からもコンテンツSEOはありましたが、真っ当なコンテンツSEOとは言えないものも多くありました。「池袋ラーメン50選」とか「イタリアのオススメ観光地120選」みたいな。普通に考えたら、誰が読むんだって感じですよね。でも、今でも「百均 オススメ 100選」みたいなのがありますけど。
<編集部より:Google Trends で「コンテンツSEO」を見た図>
岩田:質じゃなくて量の時代だったんですね。
木村:もちろんコンテンツの中にはまともなものもたくさんありましたが、クラウドワーカーを使った雑なコンテンツが増えてしまったのはたしかです。ただただ長いコンテンツが大量生産されるとか。
海外ではあまりこのようなことはないそうなのですが。悲しきかな、日本人は文章を読む・書くという能力が高いがゆえにこのような問題が起きてしまったのかもしれません。しかし、世界から見たら、小さな島国で起きている問題くらいの感じだったのではと思います。
2016年頃からSEOは、ユーザー評価ベースにシフトしていきました。
あわせてE-A-Tの重要性が増してきたのでより一層SEOが複雑化していきましたね。
ユーザー行動中心のSEOへ
岩田:YMYLの引き金を引いたのも日本だったということでしょうか?
木村:いえ、YMYLは、アメリカですでに始まっていたはずです。決して日本が早いというわけではないと思いますね。
また、Googleはユーザー行動を直接は見ていない、とは聞きますが、本当かは分かりません。滞在時間などクエリの種類によっては相関はすると思いますし。でも、ユーザー行動をフィードバックしてアルゴリズムに反映させる、と言い切ってしまえば、またそれをハックしようとする人が現れるでしょう。たとえばクラウドワーカーに記事を検索、流入させて、5分以上読ませる依頼をするといったようなものは現在でも見かけます。いずれにせよユーザー行動がより重要になってきているように思います。
一方E-A-Tに関して、「実在しているのに実在していない」と勘違いされてしまうケースも多いんです。また、本当は専門性があるけれど、それが確認しきれず専門性がないと判断されてしまう。これらはあくまで安全策のためのアルゴリズムなので、積極的に信頼性があるとは判断されないわけです。
運営者がソーシャルとしっかり接続されていること、著書があるということなども信頼性に繋がっているように思います。ソーシャル情報まで自分達で作ってしまえば、またハックされる時代がくるかもしれないですけれども。
検索エンジンは今後、多くの国々、そして子どもたちにも広がっていきますので、より高い信頼度が求められます。ですので、E-A-Tはますます重要になると思います。
インターネットでの「検索」はもう昔のように出会いを求める場というだけではなくなってきているんです。検索結果には定番が表示されるという感じになっていくと思います。ただし、ローカル情報やロングテールは現時点ではそこまで厳しくないので、領域にもよるかと思いますが。
令和時代のSEO対策
令和時代のSEOの方向性
岩田:今、やるべきSEOについてお伺いしたいです。
木村:一概には言えませんが。トランザクショナル系、インフォメーショナル系によっても変わってきますよね。情報系の中でも、医療・ローカル・グルメ情報でもまた全然変わってきます。
いわゆるE-A-Tが必要な領域でSEOをやりたいなら、E-A-Tを積み重ねるしかありません。その場合は、外部対策やサイテーション獲得を頑張らないといけませんね。情報コンテンツでE-A-Tを必要としないならコンテンツに集中すればいいのですが。
いずれにしても外部要因は強いので、サイテーション獲得は頑張った方がいいですね。そしてここは、どうしてもWebだけでは完結できないので、広報やPR等との組み合わせが重要になります。スタートアップでもSEOが伸びていくところは広報の方が優秀だったりします。テレビに取り上げられたりすると、指名検索やSNS上でのメンションが半端じゃなく伸びていきますから。広報の方はおそらく、サイテーション獲得に寄与している意識は薄いかもしれませんけどね。
ちなみに、CMは人気番組枠に出すとサイテーションが意外と増えませんでした。視聴者は番組に目が向いてしまってい、検索をしなくなる傾向があるようです。スマホをいじりながら視聴できるぐらいのバラエティ番組がちょうどよかったりするのかもしれませんね。
いずれにせよ、SEOにばかり目がいってしまうような企業や人はここができていない人が多いです。コンテンツだけでなんとかバズらせようとするとか。でも、バズるコンテンツって意図して作ることはできないんです。結果的にバズりましたというのはあったとしても。どこが作るのか? 誰が作るのか? によりますが、一時期ほどではなくなりましたね。
PRが上手なベンチャーの特徴
岩田:木村さんから見て、PRが上手なベンチャーは何が違うんでしょうか?
木村:一つは、広報担当者がメディアとどれだけ仲良くなれるかというのが大事なんじゃないかと思います。メディアから「あそこに連絡しよう」という感じになれるかどうか。こうなってくるともう、ヒューマンスキルなんですけどね。
あくまで特殊な例として聞いていただけたらと思いますが、こんな話もあります。私と仲が良い広報部長さんに「広報の仕事って何をやってるんですか?」って聞いたところ、毎週とにかく新聞社と飲んでるって言っていました。それがメインの仕事だって。
でもそれがすごく大事だとも言っていました。少し古い世界の話ですが、やっぱり記者から連絡がくるというのは最強だと思いましたね。
他にPRが上手な企業は、自分たちで流行りそうな言葉を作ったりしていますね。例えばスペースシェアのプラットフォームを運営する「株式会社スペースマーケット」が2018年に仕掛けた「インドア花見」という言葉があります。花粉症に悩まされずに、混雑を避けて、桜装飾がされた貸切スペースでお花見ができるという取り組みだったんですが、ものすごい予約が入ってました。こういった新しい言葉を作ると、必ず「言葉を作ったのはどこだ?」というのをメディアが調べて、取材が入るんですよね。
そして言葉を作るとき、新しいブームを作るときは、そのワードで必ず1位になっておくし、リスティングも併用したりします。
岩田:中小企業や個人事業主は、なかなかサイテーションが難しい印象です。
木村:そもそも大手とサイテーションの数では戦えませんからね。そこは厳しいでしょう。SEOでは、E-A-Tが必要な領域とそうでもない領域があります。なので、SEOではまず戦う相手を間違えないことです。
残念ながら、あくまで自分たちと同じラインくらいの人としか戦えないんですよね。もう一度言いますが、特に個人や中小企業の場合は戦う相手を間違えないこと。たまに勘違いしていきなりビッグワードを狙いにいく人がいますが、トランザクショナルクエリなどのE-A-Tが必要な領域では順位はまず上がりません。
それから、サービスが良くないとネガティブなサイテーションが生まれてしまいますので、これもまたSEOでマイナスに働いてしまいます。
岩田:正直者がちゃんと真面目にやるということが正解なんですね。
木村:何が正しくて何が間違っているという定義も難しいとは思いますね。コンテンツスパムをやっていた人たちは「リンクスパムをやっていないんだから真面目だ」って思っていた人もいるでしょうし。
今も「SEO記事」という言葉を聞きますが、そもそもSEOのために記事を書くというのはおかしな話です。SEOを意識するのは良いことだと思いますが、良いコンテンツを作っても、先ほどお伝えしたように領域的にE-A-Tでダメなところもあるでしょう。
現代のSEOは以前よりも、多数の要素が複雑に絡んでいる印象があります。ここだけ伸ばせばいいというのがないんですね。なのでSEOのコンサルは大変になっていますよ。
令和時代の最新SEO対策 まとめ
平成から令和のSEOの歴史を振り返り、これからの時代の最新のSEO対策について考えてみようと立ち上げた本企画。
今回、サイバーエージェント SEOラボ 研究室長 兼 メディア統括本部 SEO戦略室 室長 京都大学経済学研究科 研究員の木村賢氏にお話を伺いました。
前編では、SEOの歴史を振り返り、令和時代に求められるSEOについて触れていきました。
後編では、最新のSEOの傾向を踏まえ、どのようにすればメディアを強くすることができるのか? その本質と具体的な手法について触れていきます。ぜひ後編もご覧ください。
【保存版】令和時代の最新SEO対策は〇〇にあり~SEOのためにSEOをやるのはもはや時代遅れ~(後編)
※木村氏は2020年3月現在、本記事以外のコンテンツに関する監修・執筆は行なっておりません。
Q. SEO対策は何から始めた方が良い?
SEO対策の手順として「?タイトルタグとテキストの設定」「?検索ニーズ・キーワードを探す」「?対応するコンテンツやページを作る」「?内部リンク構造を最適化する」「?コンテンツの品質や信頼性を明示する」「?告知活動で良い評判やリンクを獲得する」の6つの手順が挙げられます。
Q. 令和時代のSEO対策には何がある?
令和時代のSEO対策として「E-A-Tを積み重ねる」「サイテーション獲得に注力する」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。
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この記事を書いた人
中村 天大
専門分野: Webマーケティング,SEO
新卒で教育系の上場企業へ入社。その後ベンチャー企業へ転職し、マーケティング責任者を経験。現在フリーで広告運用やライティング、コンサルなど、幅広く活動。
企業在籍時に、ホームページ制作・発注で頭を抱えていたため、Web幹事のビジョンに共感し、ジョイン。