- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー ECサイト
ECサイトの見積項目は、それぞれどんな費用?見積書の比較ポイントも解説!
eコマースビジネスに参入するため、ECサイトの見積もりを取ったが、項目が多くてそれぞれどんな費用なのかわからない。制作会社によって見積項目が異なる理由もわからない。そんなEC担当者に向け、主なECサイトの見積項目とその内容を解説するとともに、相見積もりで見積書を比較するポイントも紹介していきます。
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ECサイトの見積項目は導入方法で変動
複数の制作会社からECサイトの見積もりをとったことのある方なら「なぜ会社によって見積項目が異なるのか?」疑問を感じたことがあるでしょう。それもそのはず。制作会社によって工程ごとの見積項目が異なるだけでなく「ECサイトには複数の導入方法がある」からです。主な導入方法は以下の通り。
導入方法 |
概要 |
代表例 |
ECモール |
オンラインショッピングモールにテナント形式で出店 |
Amazon、楽天市場など |
ASP |
クラウド環境に用意されたECサイト構築 プラットフォーム(ASP)を使って開設 |
ショップサーブ、 Makeshopなど |
オープンソース |
無償で使えるECサイト構築システムを使って開設 |
EC-CUBE、Magentoなど |
パッケージ |
市販されているECサイト構築パッケージを使って開設 |
EC-ORANGE、ecbeingなど |
クラウドEC |
開設方法はASPに近いが、カスタマイズの自由度が高い |
Shopify、ebisumartなど |
スクラッチ |
ゼロからECサイトを構築する開設方法 |
たとえば、ECモール / ASPは「ECサイトが動作する実行環境」であるサーバ / ネットワーク(インフラ)を自社で用意する必要はありません。一方、スクラッチの場合はインフラ環境の構築だけでなく、すべてのプログラムをゼロから開発しなければなりません。ECサイトの導入方法によって見積項目が異なるのは当たり前なのです。
導入方法によってECサイトの制作費用も変動
導入方法の違いによるECサイトの外注費用についても少し触れておきましょう。そもそも、ECサイトは「サイト規模」「機能」だけでなく「導入方法の違い」で制作費用が大きく変動します。たとえば、機能が同じなら、スクラッチ開発よりもサイトデザインをカスタマイズする程度で済むASPの方が安価。導入方法ごとの大まかな費用感は以下の通りです。
導入方法 |
制作費用の目安 |
ECモール |
無料〜10万円 |
ASP |
無料〜100万円 |
オープンソース |
10万円〜(プログラム自体は無償で利用可能) |
パッケージ |
100万円〜 |
クラウドEC |
50万円〜 |
スクラッチ |
500万円〜 |
ECサイト制作の費用相場については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ECサイト構築の費用と料金相場、開設手順をかんたん解説!
ECサイトの見積項目と項目の内容
ECサイトの見積項目が導入方法によって変動することを理解した上で、見積書でよく使われる主な項目および、項目ごとの内容を簡単に紹介していきましょう。
- 企画 / 要件定義費用
- サイト設計費用
- システム設計費用
- 環境構築費用
- サイトデザイン費用
- コーディング費用
- テスト費用
- 素材費用
- 進行管理費用
- 運用 / 保守費用(制作会社に依頼する場合)
企画 / 要件定義費用
企画 / 要件定義費用とは、どのようなECサイトを作るのか方向性を定め、ECサイトに必要な機能要件 / 非機能要件はなにか?定義するための費用 / 見積項目です。機能要件とは、ECサイトに必要な機能のこと。非機能要件とは、機能要件以外にECサイトへ求める必要な条件のことです。
企画 |
ECサイトの目的、目標、ターゲット、取扱商材、コンセプトなどを決定 |
機能要件 |
カート機能、検索機能、会員登録 / ログイン機能、ポイント機能、マーケティング機能など |
非機能要件 |
サーバのスペック、ネットワークの帯域幅、カスタマイズなど |
もちろん、企画から要件定義まで、すべてを制作会社に任せるのではありません。自社で企画 / 要求を定義した上で、制作会社が「技術的 / 予算的に実現できる形」へ整理するイメージです。
サイト設計費用
サイト設計費用とは、必要なページを洗い出し、SEOを考慮しながらECサイトのストラクチャー(構造)を設計するための費用 / 見積項目です。要件定義で定めた機能要件 / 非機能要件をもとに、ECサイトの導入方法 / 作り方を決めることも含まれます。
たとえば、既存のパッケージやオープンソースで要件定義を満たせるなら、費用面からスクラッチ開発は採用しないという判断をします。ECサイトを構成する各ページのワイヤーフレーム、大まかなサイトマップなどが成果物です。
※ワイヤーフレームとは、Webページの大まかなレイアウトをワイヤー(線)とフレーム(枠線)で図式化した下書きのこと
システム設計費用
システム設計費用とは、ECサイトのバックグラウンドで動作する「ソフトウェア・プログラム」を設計するための費用 / 見積項目です。オープンソース / パッケージ / スクラッチなど、自社で動作環境を用意する導入方法の場合は、インフラ環境の設計費用も含まれます。
ただし、ECモール / ASPなど、オプションやプラグイン以外でのプログラムカスタマイズが困難な導入方法の場合、システム設計費用は不要な項目です。
環境構築費用
環境構築費用とは、ECサイト開設に必要な環境を整えるための費用 / 見積項目です。たとえば、ECモールに出店する場合を除き、自社ECサイトを開設するには最低限「独自ドメイン」と「SSL証明書」が必要。動作環境の必要な導入方法なら、ECサイトをデプロイ(配置)するホスティング / クラウドなどの環境構築費用も含まれます。
また、EC構築サービスのオプション費用、オープンソースの有償プラグイン費用、パッケージ購入費用などを見積項目に含む場合もあります。
サイトデザイン費用
サイトデザイン費用とは、サイト設計で作成したワイヤーフレームをもとに、ECサイトの各ページをデザイン / レイアウトするための費用 / 見積項目です。ユーザーの使い勝手、スムーズにCV(購入)へ導く導線など、デザインはUI / UXに直結する重要な工程。モバイルファーストが重視される現代では、レスポンシブ対応も必須です。
トップページ / 商品ページ / 会社概要など、デザインするページごとに単価を定め、数量に応じて総額を算出することが一般的です。
コーディング費用
コーディング費用とは、サイト設計 / システム設計をもとに、ECサイトのバックエンド / フロントエンドプログラムをソースコードで記述するための費用 / 見積項目です。実際には、コーディングに携わるエンジニア / プログラマーの人件費だと考えておけばいいでしょう。
たとえば、ECサイトのコーディングに160時間必要な場合、1日8時間稼働できるエンジニアを1か月(20日)拘束すれば、1か月で作業を完了できます。こうした人件費の計算方法を「人月単価」と呼び、エンジニアのレベル / スキルに応じて単価も変動する仕組みです。
実際には、サイト設計やシステム設計などの費用 / 見積項目も、人月単価(人件費)をもとに計算される場合がほとんど。ただし、設計業務はスキルの高いSE(システムエンジニア)が担当するため、人月単価(時間あたりの単価)は高くなることは覚えておきましょう。
テスト費用
テスト費用とは、パーツごと、機能ごと、システムごとなど、ECサイトが完成するまで段階的に実施されるテストにかかる費用 / 見積項目のことです。
大規模なECサイトの場合、コーディングを担当するエンジニアとは別の専任テスターが担当しますが、エンジニアがテスターを兼ねることも。ECサイトの規模が大きくなるほど、テストも入念に実施する必要があります。
素材費用
素材費用とは、ロゴ、写真 / 画像、キャッチコピー、テキストなど、ECサイトで使う各種素材を調達するための費用 / 見積項目です。素材サイトで高品質な写真を入手するなどのほか、制作会社が仲介してカメラマン / イラストレーター / コピーライターなどの専門家を手配する場合もあります。
もちろん、依頼側でECサイトの素材をすべて用意できるのであれば、素材費用はかかりません。無料の素材サイトを利用する方法もありますが、自社のオリジナリティをアピールするためにも、素材は自社で用意するのがおすすめです。
進行管理費用
進行管理費用とは、ECサイトの企画から完成まで、納期とのバランスを考慮しながら各工程の進捗状況を管理するための費用 / 見積項目です。実際には、ECサイト構築を管理する「プロジェクトマネージャー(PM)」「Webディレクター」の人件費だと考えればいいでしょう。
進行管理費自体の計算方法は制作会社によってまちまち。PMやディレクターの人月単価で計算する方法、見積もり総額のパーセンテージ(10%程度)に設定する方法などが一般的なようです。
運用 / 保守費用(依頼する場合)
運用 / 保守費用とは、ECサイト開設後に「システムを維持して問題なく稼働させる」ための費用 / 見積項目です。問題なく稼働しているかを監視するシステム運用、万一の障害時の復旧を目指すシステム保守、ソフトウェアアップデートなどが業務の基本。
運用 / 保守業務は自社で対応することも可能ですが、本来のネットショップ業務が疎かになっては本末転倒。見積もりを依頼する前から、自社で対応できるのか?難しいのならどこに代行依頼するのか?検討しておくことが重要です。
ECサイトの見積書を比較するポイント
ECサイトの主な見積項目 / 内容は把握できた。しかし、複数の制作会社に相見積もりを依頼した場合、各社の見積書をどのように比較検討すればいいのか。設備導入時に相見積もりが必須の法人の場合、担当者にとって重要な悩み事の1つでしょう。そんなEC担当者のヒントになるよう、以下からECサイトの見積書を比較する際のポイントを紹介します。
同じ条件で見積もりを依頼する
相見積もりを依頼する際の大前提として挙げられるポイントは「各社に同じ条件で見積もり依頼する」こと。前提条件が異なっている見積書では、比較しようがないからです。ECサイトの見積項目「企画 / 要件定義」でも触れたように、求める機能 / 非機能を明確にし、RFP(提案依頼書)にまとめておきましょう。
RFP(提案依頼書)については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:RFP(提案依頼書)とは?ホームページの発注で失敗しないための必須ツール
総額 / 費用で判断しない
見積書を比較する際は、どうしても見積もり総額に注目してしまいがちですが「総額費用だけで制作会社を選定する」のはおすすめできません。特に「制作費用一式」など、作業項目が抜けている見積書には要注意。「どのような作業」に「いくら」かかるのか、明記されていなければ、思わぬ追加費用が発生する場合もあるからです。
こうした見積書の抜け / モレをチェックするためにも、ECサイトの見積項目を把握しておくことが重要です。
見積書の不明点は解消しておく
上述したように、ECサイトの見積項目は制作会社によって表現が異なることもあります。なんとなくで納得するのではなく、見積項目を含め、見積書の不明点は比較検討する前に解消しておきましょう。
各社の提案を含めて比較する
見積書だけではなく、各社の提案を含めた総合的な観点で、見積書を比較することが重要です。たとえば、ECサイトに求められる要求が同じであっても、オープンソースCMSを提案する会社もあれば、クラウドECを提案する会社もあります。これは、自社の要求をどのように満たすか、課題をどのように解決するか、制作会社からの回答にほかなりません。
つまり、自社の要求 / 課題を深く理解してくれる制作会社ほど、理にかなった提案をしてくれるはず。こうした制作会社を選定できれば、プロジェクトもスムーズに進むはずです。
ECサイト制作会社を選ぶポイント
それでは、そもそも相見積もりの依頼先となる「複数のECサイト制作会社」は、どのように選定すればいいのか?こちらも選び方のポイントを簡単に解説しておきましょう。
ECサイトの構築実績
選定基準のポイント1つめは、豊富なECサイト構築実績のある制作会社か?ということ。ECサイトはホームページの1種ではありますが、どちらかといえばWebアプリケーションの側面が強いからです。
カート機能だけでなく、会員機能を含む多数のプログラムを必要とするECサイトの場合、豊富な構築実績は安心材料です。クライアントの事情で実績を公表できない、という制作会社も少なくありませんが、個別の相談であれば詳細を教えてくれるはずです。
構築方法への対応度合い
選定基準のポイント2つめは、どのようなECサイト構築方法に対応できるか?確認すること。たとえば、ASPやオープンソースで多数の実績がある制作会社でも、スクラッチ開発には対応できない、またはその逆のケースも考えられるからです。
想定する導入方法を得意とする制作会社を選定する、あるいは幅広く提案して欲しい場合は、さまざまな構築方法に対応する制作会社を選ぶなどの工夫が必要です。
【まとめ】ECサイトの見積項目や見積書の比較ポイントを紹介しました
eコマースビジネスに参入するため、ECサイトの見積もりを取ったが、項目が多くてそれぞれどんな費用なのかわからない。制作会社によって見積項目が異なる理由もわからない。そんなEC担当者に向け、主なECサイトの見積項目とその内容を解説するとともに、相見積もりで見積書を比較するポイントも紹介してきました。
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この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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