ECサイトの要件定義|進め方や事前に考慮しておくべきポイントを解説!

要件定義の具体的な内容や進め方がわからないと悩んでいませんか?

要件定義は、ECサイト構築やリニューアルの成否を左右する重要な工程です。EC担当者の方に向け、基礎知識から進め方、事前に考慮しておくべきポイントまで、ECサイトの要件定義の基本を解説していきます。

なお、ECサイト制作会社の探し方・選び方がわからない!という方はWeb幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. ECサイトの要件定義とは
    1. 1-1. 要件定義はECサイト制作プロジェクトの指標
    2. 1-2. 要求定義を担当するのは企画者 / 依頼者
  2. 2. ECサイトの成功は要件定義にかかっている
  3. 3. ECサイトの要件定義 / 要求定義の進め方
    1. 3-1. 目的の明確化と目標(KGI / KPI)の設定
    2. 3-2. ECサイトのコンセプト / マーケティング戦略
    3. 3-3. 要件の洗い出し
    4. 3-4. RFP作成 / 見積もり / 制作会社選定
    5. 3-5. ECサイトの要件定義 / 要件定義書作成
  4. 4. 要件定義の前に企画側が考慮すべきECサイトのポイント
  5. 5. 業務フロー設計
    1. 5-1. 決済 / 在庫管理 / 配送
    2. 5-2. 社内 / 外部システム連携
    3. 5-3. システム要件(機能要件 / 非機能要件)
    4. 5-4. サイト構造 / デザイン
    5. 5-5. セキュリティ要件
    6. 5-6. データ登録 / 移行(リニューアル)
    7. 5-7. ECサイトの制作予算 / 公開までのスケジュール
    8. 5-8. ECサイトの運用 / 保守体制
    9. 5-9. 要件定義書(要求定義書)のテンプレート
  6. 6. ECサイトの要件定義3つのポイント
    1. 6-1. 長期的な視点で要件定義を行う
    2. 6-2. 実際の業務フローを意識する
    3. 6-3. 要件の共有は正確に行う
  7. 7. ECサイトの成長を視野に入れた要件の定義が重要
  8. 8. 【まとめ】ECサイトの要件定義を解説しました

ECサイトの要件定義とは

要件定義とは「重要な条件、必要な条件(要件)」を定義する制作工程のこと。つまり、ECサイトの要件定義とは、構築 やリニューアルをするECサイトに求める要件を定義し、仕様を確定する制作工程です。要件定義は、ECサイト構築の初期段階に実施されます。

  • 企画 / 要求定義
  • 要件定義
  • システム設計
  • サイトデザイン / 機能設計
  • コーディング / 機能実装
  • テスト
  • ECサイト公開 / 運用・保守

社内でECサイト構築 やリニューアルを完結させる場合もありますが、本記事では構築やリニューアル作業を制作会社に依頼する場合をメインに解説を進めていきます。

要件定義はECサイト制作プロジェクトの指標

設計やデザイン・コーディングなど、実作業工程の前段階に位置することか、要件定義は「ECサイト制作の指標を作る」重要な工程です。要件定義の成果物である要件定義書は、以降すべての開発工程で参照されます。実作業の指標となる要件定義がブレてしまうと、成果の得られるECサイトは作れません。

制作や 開発側の指標となるだけでなく、決裁者を含む社内コンセンサスを得るためにも要件定義は重要。ECサイトの仕様を確定させ、要件定義書で合意を得ておくことにより「制作開始後の仕様変更で予期せぬ費用の追加」を防げます。

要求定義を担当するのは企画者 / 依頼者

要件定義は「ECサイトに求められる要求を技術面で実現するための方法(仕様)へ落とし込む」工程です。主に、ECサイト構築やリニューアルを請け負う制作会社が担当します。ECサイトに求められる要求を定義する「要求定義工程」はECサイト制作の企画者や依頼者が担当します。

「要求」「要件」や「依頼側」「開発側」それぞれ立場の違いはありますが、どちらの工程も「ECサイトに必要なもの」を定義するという意味では同じ。要求定義の成果物であるRFP(提案依頼書)は、複数の制作会社から見積もりや提案を募るためにも利用されます。

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ECサイトの成功は要件定義にかかっている

ECサイトの成功は、要件定義にかかっています。要件定義は、ECサイト制作の指標となるからです。要件定義が明確であれば、ECサイト構築をスムーズに進めることができます。

要件定義を軽視すると、求めていたECサイトとは異なるものができてしまい、改修に時間とコストがかかってしまうなどのリスクが考えられます。

トラブルを防ぐためにも、ECサイトのコンセプトやデザイン・機能・予算・スケジュールなどを具体的に固めておくことが重要です。要件定義はECサイト制作の成功を左右するため、見落としやズレがないように長期的な視点で検討しましょう。

ECサイトの要件定義 / 要求定義の進め方

基本を把握できたところで、ECサイトの要件定義 や要求定義の進め方を簡単に解説していきましょう。

目的の明確化と目標(KGI / KPI)の設定

ECサイト構築やリニューアルの目的を明確化し、中期的な目標や将来的な長期目標を設定します。例えば「実店舗と連携したOMO(Online Merges with Offline)戦略を目的」「ECサイト開設3年後に売上高300%を目指す」など。目標となるKGI / KPIは、具体的な数値で設定することもポイントです。

ECサイトリニューアルの場合は、現状を分析して課題を洗い出しておくことも重要。アクセス数やカゴ落ちの数など、できる限り定量的な数値を根拠に分析しましょう。

ECサイトのコンセプト / マーケティング戦略

制作するECサイトのコンセプトを定め、集客に向けたマーケティング戦略を立案します。重要なポイントはペルソナの設定。ペルソナとは、商品購入してくれるカスタマーを代表する具体的な人物像のことです。

つまり、自社商品のアドバンテージを念頭に「だれに、どんな商品を、どのように販売するか」一貫した方針がコンセプト。「ペルソナに自社や商品を認知してもらい、売れる仕組みを作る」ことがマーケティング戦略です。競合の乱立するEC市場で、差別化を図るためにも重要なポイントです。

要件の洗い出し

目的や目標を達成するためのコンセプト、マーケティング戦略をもとにECサイトに求められる要件を洗い出します。具体的には、戦略にあわせたUI / UXデザイン、快適に利用できる機能やセキュリティ対策、想定するトラフィックにあわせたインフラ環境など。

要求定義の段階で専門性は、必要ありません。「ユーザーの操作に対してこういう反応が欲しい」「商品検索が0.5秒以内に完了すること」といった表現で良いでしょう。

RFP作成 / 見積もり / 制作会社選定

ECサイトに求められる要求をもとに、RFP(提案依頼書)を作成します。要求定義の成果物であるRFPは、同じ条件で複数のECサイト制作会社から見積もりや提案を募るのに適切だからです。前提条件が同じなら、制作会社の見積もりや提案内容をより比較しやすくなります。

要件定義書とRFP(提案依頼書)の違い

要件定義書とは、発注側の要件や要望などの目的を達成するために必要な内容を、技術的な観点から明記するための書類です。要件定義書を作成することで、発注側と開発・制作側で認識のずれが生まれにくくなります。

RFP(提案依頼書)とは、開発・制作側へ依頼する要件を伝えるための書類です。どんなECサイトにしたいのか、プロジェクトの目的や概要などを開発・制作側へ正しく伝えることができます。

ECサイトの要件定義 / 要件定義書作成

最終的に選定した制作会社と打ち合わせをしながら要件定義を進め、成果物である要件定義書を作成します。重要なことは、認識のズレをなくすためのコミュニケーション。自社の要求を具体化したRFPは、ECサイトの要件定義を円滑に進めるためにも有効です。

実際、先方のPM(プロジェクトマネージャー)とのコミュニケーションや相性は、実績や提案内容と並ぶ、ECサイト制作会社を選定する重要なポイント。見積もり金額だけで依頼先を選定しないようにしましょう。

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要件定義の前に企画側が考慮すべきECサイトのポイント

ECサイトの要求 / 要件定義の手順を簡単に解説してきましたが、要求定義でなにを具体化すればいいのか、わからないという方も少なくないはず。そんな方に向け、以下から要件定義前に企画側が考慮して具体化しておくべき要求定義のポイントを紹介していきます。

  • 業務フロー設計
  • 決済 / 在庫管理 / 配送
  • 社内 / 外部基幹システム連携
  • システム要件(機能要件 / 非機能要件)
  • サイト構成 / デザイン
  • セキュリティ要件
  • データ登録 / 移行(リニューアル)
  • ECサイトの制作予算 / 公開までのスケジュール
  • ECサイトの運用 / 保守体制

要件定義の必須項目や進め方の詳しい手順については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Webサイトの要件定義とは?必須項目・RFPとの違い・進め方まで解説

業務フロー設計

オンラインショップ業務全体のなかで、構築やリニューアルするECサイトがどのような役割を担うのか明確化するためにも、業務フローを設計しておきましょう。ポイントは「現状(As-Is)と課題」を明確化し、課題を解決する「あるべき理想の業務フロー(To-Be)」を設計すること。

As-IsとTo-Beのギャップを埋める工程こそが「要求定義」です。現状と理想の業務フローを図式化しておくと、後の工程をスムーズに進行できます。

画像出典:EC-ORANGE

決済 / 在庫管理 / 配送

どのような決済方法を用意するか、どのような方法や体制で在庫管理・商品の受発注・配送業務を実行するか決めておきましょう。業務フローを設計するということは、ECサイトに関連する他の業務も見直すこととイコールだからです。

例えば、10代前半をターゲットにしたゲームが主力商品なら、クレジットカードのみの決済方法では不充分。ビジネスの成長にあわせてECサイトをリニューアルする場合は、在庫管理や配送を外部ロジスティクスに任せるという選択もあるでしょう。

社内 / 外部システム連携

社内 / 外部システムとの連携方法を検討しておきましょう。例えば、ロジスティクスを外部に委託する場合、ECサイトとのデータ連携が必要。オンラインとオフラインを融合するOMO戦略を推進するなら、実店舗のPOSシステムやCRMなど、基幹システムとの連携が必要です。

具体的な連携方法や必要なシステムを考える必要はありませんが、連携したいシステムをリストアップしておくことが重要です。

システム要件(機能要件 / 非機能要件)

構築やリニューアルするECサイトに求めるシステム要件(機能要件 / 非機能要件)を決定しておきましょう。機能要件とは、ECサイトに実装する必須の機能。非機能要件とは、機能以外に求めるECサイトの条件のことです。

例えば、機能要件の代表例として、下記があげられます。

  • カート機能
  • 会員登録機能
  • ポイント機能
  • ログイン / ログアウト機能

対して、可用性・拡張性・処理速度を含むサイトパフォーマンスなどが非機能要件の代表例です。

ECサイトの機能要件については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ECサイトに欲しい機能・仕組みを徹底解説|売上をアップするための機能要件

サイト構造 / デザイン

構築やリニューアルをするECサイトに必要なページやページのカテゴリー分類・ストラクチャー(階層構造)など、大まかなサイト構造を決定しておきましょう。各ページの具体的なイメージがあれば、簡単な線と枠で表現する設計図「ワイヤーフレーム」を作成しておくと、後のデザイン工程をスムーズに進められます。

ワイヤーフレームを作るのが難しい場合は、イメージに近いデザインのECサイトをピックアップしておくのも1つの方法です。

セキュリティ要件

セキュリティ要件とは、リリース初期にECサイトが達成しているべきセキュリティ目標のことです。クレジットカード情報を含む顧客情報を取り扱うECサイトは、特に高いセキュリティ強度が求められます。そのため、企画側だけでセキュリティ目標を設定するのは簡単ではありません。

ECサイトにとってのセキュリティ要件は重要だということを認識し要件定義フェーズで制作会社と内容を詰めていくことになるでしょう。

データ登録 / 移行(リニューアル)

ECサイトの商品ページへのデータ登録方法、リニューアル時は旧サイトから新サイトへのデータ移行方法を決定する項目です。実際には、要件定義の確定を待って具体的な方法を決定しますが、ECサイトが完成しても商品情報がなければリリースできません。データ登録作業をスムーズに進めるためにも、開発の初期段階から意識しておく必要があります。

ECサイトの制作予算 / 公開までのスケジュール

ECサイト構築やリニューアルの予算、および公開までのスケジュール(納期 / 公開予定日)を大まかに決定しておきましょう。ECサイトの制作費用や制作期間は、サイト規模、実装する機能のほか、構築方法によっても大きく変動します。構築方法それぞれの特徴を理解し、予算や納期にはある程度の幅を持たせておくことがポイントです。

構築方法

費用目安

ランニングコスト

制作期間

カスタマイズ性

実行環境

(サーバ)

ASP

無料〜100万円

月額料金

短い

低い

不要

オープンソース

10万円〜

安い

短い〜長い

普通

必要

パッケージ

100万円〜

高い

長い

高い

必要

スクラッチ

500万円〜

非常に高い

長い

非常に高い

必要


ECサイトの構築費用については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ECサイト構築の費用と料金相場、解説手順をかんたん解説!


ECサイトのリニューアル費用はいくらかかるのか、サイト種別毎に相場を知りたい方は以下のダウンロード資料もぜひご覧ください!

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ECサイトの運用 / 保守体制

開設したECサイトは、安定的かつ継続して稼働させていくためのシステム運用 / 保守業務が欠かせません。どのようにECサイトを運用 / 保守するのか、リリース後の体制を決定しておきましょう。

一般的に、ECサイトの運用 / 保守は、構築を担当した制作会社に依頼します。依頼する場合の年間費用は、構築費用の約15%ほどですが、必ずしも制作会社に依頼しなければならないわけではありません。社内にリソースがあれば、運用 / 保守を自社でまかなうことも可能。近年、活用の広がる運用 / 保守代行会社、MSPに依頼することも可能です。

要件定義書(要求定義書)のテンプレート

ECサイト構築プロジェクトを成功させるには、指標となる要件定義が重要。要件定義をスムーズに進行させるには、前提条件を定義する要求定義と要件定義のインプットとなる要求定義書 / RFPが重要です。

しかし、要求定義書 / RFPをどのように作成したらいいかわからないというEC担当者も少なくないはず。そんな方の参考になるよう、要件定義書(要求定義書)のテンプレートを紹介しておきます。

ダウンロードリンク:【文書】テンプレートの無料ダウンロード

ECサイトの要件定義3つのポイント

ECサイトの要件定義を作成する際の3つのポイントを解説します。

  1. 長期的な視点で要件定義を行う
  2. 実際の業務フローを意識する
  3. 要件の共有は正確に行う

長期的な視点で要件定義を行う

ECサイトの要件定義は、長期的な視点で行いましょう。短期的な視点に囚われると、以下のようなリスクがあります。

  • 初期コスト削減に固執し、重要な機能を省略してしまう
  • 将来の拡張性を考慮せず、システムの限界にすぐに直面する
  • 市場トレンドの変化に対応できず、競合に後れを取る

「○年後に売上○%アップ」などの中長期的な視点から、達成したい目的のために必要な要件を検討することが大切です。

実際の業務フローを意識する

ECサイトの要件定義をする際は、実際の業務フローを意識しましょう。

実際の業務フローを意識した要件定義を行うことで、効率的な運用が可能になり、顧客満足度の向上にもつながります。

具体的には、以下のような点に注目しながら要件定義を進めていきましょう。

  1. 受注から出荷までの一連の流れ
  2. 在庫管理のプロセス
  3. 顧客対応の流れ
  4. 売上管理や経理処理のフロー

例えば、受注から出荷までの流れを考える際は、以下のような点を詳細に検討する必要があると考えられます。

  • 注文情報の確認方法
  • 支払い確認のプロセス
  • 在庫の引当方法
  • 出荷指示の出し方
  • 配送状況の管理方法

業務フローを細かく分析し、それぞれのステップでどのような機能が必要になるかを洗い出すと、実際に必要となるシステムに気づきやすくなります。

業務フローをもとに要件定義を作成することで、Web制作会社に依頼する際も、要望を正確に伝えることができます。

要件の共有は正確に行う

意外と重要なポイントが、要件の内容を正確に共有することです。要件がまとまっても、社内外の関係者全員に正しく伝わらなければ、認識のズレが発生してしまいます。

要件定期の内容を正確に伝えるためにも、口頭ではなく書面やデジタルデータで共有しましょう。後から確認できる形で残しておくことも大切です。

要件定義の内容は、社内外の関係者全員に正確に共有しましょう。プロジェクトに関わる全員が同じ認識を持つことで、スムーズな開発と運用が可能になります。

ECサイトの成長を視野に入れた要件の定義が重要

最後に、ECサイトの要求定義 / 要件定義を進める際の注意ポイントを1つご紹介します。ECサイト構築 / リニューアルを進める際は、中期的なビジネスの成長を視野に入れ、要件を定義するのが重要ということです。

例えば、現状ではASPの機能で充分だと考えていても、ビジネスの成長にともって1年後にECサイトのリニューアルを強いられた、といったことは起こり得るからです。短期的な視点やコストを優先するのではなく、5年程度の中期的な視点で全体を包括的に見る姿勢が重要です。

【まとめ】ECサイトの要件定義を解説しました

要件定義は、ECサイト構築やリニューアルの成否を左右する重要な工程。なんとなく理解しているが、具体的な内容や進め方がわからないというEC担当者の方に向け、ECサイトの要件定義の基本を解説してきました。ECサイトの要件定義を行う際は、今回ご紹介した基礎知識、進め方、事前に考慮しておくべきポイントを参考にすることで、プロジェクトをスムーズに進められるでしょう。

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